2012年10月下旬、米国コロラド州ボールダーで最も由緒あるホテルボールデラドに1週間ほど滞在した。初雪や農場の収穫祭、当時2歳の孫が通う児童館のハロウインパーティなどを楽しんだのち、帰国前の1日マニトウスプリングスからパイクスピーク(America’s Mountainと呼称される)に向かうラック式鉄道に寄ることにした。
マニトウ&パイクスピーク登山鉄道は1891年6月に開業、最初はボールドウイン社製蒸気機関車(資料写真)3台で運行開始、1930年代にディーゼル化した登山鉄道である。残念なことに今年(2018年)はメンテナンスと将来への備えのため運行停止中ということだ。
マニトウスプリングスにある山麓駅ではラックレイルの説明(写真1)にアブト式の説明があるが「正しくはシュトループ式」などと野暮なことは言わないでおこう。駅から望む車庫の脇を山頂からの列車(写真2)が下ってきた。車体の側面には歯車のエンブレム(写真3)が誇らし気に掲げられていた。
山頂までの往復3時間10分の旅がセットされた全席指定の乗車券(写真4)の裏面には座席位置の図もある。シーズンは1両の列車と2両編成の列車が続行運転され、3両でワンセットという感じである。
マニトウを出てしばらくはエングレマン渓谷のレイトンクリークに沿って進み、森の中、滝もあって雰囲気の良い景色だった。やがてミュール鹿放牧ディアパークを通過して森林限界の上に出ると、高山ツンドラと呼ばれる岩だらけ(写真5)の景色になった。山頂駅(写真6.7)には休憩所・売店があって、この時期(10月29日)はかなり寒く、ちらっと周囲を眺めた後は暖房の効いた室内で列車の折り返し時刻を待つ人がほとんどだった。山頂駅からの眺め(写真8)はとても良かったが、寒さに震えたのも事実で、本格的な防寒具が必要だった。