ちょうど70年前の今頃、1955年2月の「ロータリー50周年」を控え、1953年早々、国際ロータリー(RI)は世界各国のロータリー(各国最初のロータリークラブ/RC)に、それぞれの国の政府に「ロータリー50周年記念切手」の発行を働きかけるよう、3点の見本図案を付けて要請しました。
それまでのロータリー関連の記念切手と言えば、過去にこのコラムでご紹介したように、(1)1931年のウイーン大会、(2)1940年のハバナ大会、(3)1948年のリオデジャネイロ大会と、いずれもRIの年次大会を記念するものでした。そこでRIは全世界に「50周年記念切手の発行」という一大イベントを通じてロータリーの広報をしようとしたのです。
その結果、27か国から87種類のロータリー50周年記念切手が発行されました。
日本では以前のコラムに書きましたように、東京RCが郵政当局に働きかけましたが実現せず、代わりに東京RCが中心になって3種類のシールが作られ、郵便物(封筒や便せん)に記念シールとして貼られたり、封緘紙として全国のRCで使われました。
RIから各国のRCに送られた切手の見本図案は、ほとんど残っていないようですが、RIの公式親睦グループのひとつであるROTARY ON STAMPS(ROS)が当時RIから受領した数セットが現存し、そのうちの1セットが私の手元にあります①。カラーで公開できず残念なのですが、青と茶系の2色で刷られ、裏糊もついていますが目打ちはありません。裏糊があるのでシミが出てきており、今後の保存をどうするかが課題です。
この図案通りに発行した国はありませんでしたが、参考にしたと思われる国はいくつかあり、その切手をご紹介します②。左上が1955年8月30日にニカラグアで15種発行された内の3種がこの図案でした。そのうちの30C(航空郵便用)を掲載します。その下はベルギーが1954年9月10日に発行した3種のうちの1種です。実は他の2種はこの時期に開催された「欧州・北アフリカ地域大会記念切手」で、50周年の表示はありません。右の2枚はエクアドルが1955年7月2日に発行したもので、2種とも見本図案の左上のデザインを下部に採用しています。
この50周年時の記念切手は今でも比較的入手しやすく、日本の切手商にも在庫はあるようで、その気になれば完集は容易でしょう。私が1992年にロータリーの切手を集め始めた際もここから始めました。
このロータリー50周年記念切手は87種類あると書きました。次回からしばらくは米国、フランス・仏領、・・・と、数回に分けてそれらの切手を、エピソードも交えてご紹介する予定です。