1960年代といえばアフリカの各国が欧米列強の支配から独立を成し遂げた時代と言えます。
その頃のロータリークラブの郵便物で気になっていたものがいくつかあります。今回ご紹介するのは1908年11月から続いたベルギーの支配から1960年6月に独立を果たした「コンゴ共和国(現在のコンゴ民主共和国)」のジャドヴィルロータリークラブ(RC)からアメリカ・ペンシルバニア州のリティッツRCのロータリアンRussel E. MURR氏に宛てた手紙の封筒(カバー)①です。ベルギー領コンゴの切手にCONGOと加刷した切手5枚とCONGOの切手2枚(うち1枚は1960年6月30日の独立記念切手=下段右端)が貼られています。
ジャドヴィルといえば独立直後に始まったコンゴ動乱(1960~65年)での「ジャドヴィルの戦い」で知られています。この手紙の消印の日付は1963年6月14日ですからジャドヴィルの戦いが収束した半年後。とはいえまだコンゴ動乱のさなかです。宛先のリティッツはアメリカ初の女子寄宿学校リンデンホールが有名ですが、ドイツザクセン州起源のモラヴィア人の町としても知られています。そこのラッセルさんとジャドヴィルRCとの関係は分かりませんが、当時のコンゴ一帯はベルギー、ドイツ、フランスなどの列強が権益を握っていましたので、メークアップで例会に出席されたのかもしれません。コンゴ動乱と言えば、独立時のルムンバ初代首相が2か月半後のモブツによる無血クーデター後に暗殺され、1961年9月18日には仲介に入った国連のハマーショルド事務総長が搭乗機の墜落事故(原因はいまだ不明)で亡くなるなど、中学生だった私にも衝撃的なニュースが記憶に残っています。
このコンゴ民主共和国のRCは1954年創立のキンシャサRCが最初です。ロータリーの切手もありますが、鉄道や灯台などの図案にロータリーのエンブレムを入れただけのものが大半で、唯一、2006年2月に「ロータリー100周年」とシートの耳紙に印刷したポール・ハリス創始者を描いた切手②~④があります。ただ、これとて4面シートのうち2面はライオンズのメルビン・ジョーンズさんの肖像で、発行日も100周年の1年後なので、真にロータリー切手と呼べるものかは疑わしい感じです。
旧・フランス領だった現「コンゴ共和国」は1957年のブラザビルRCが最初で、こちらは1996年にロータリーの活動を紹介する良いデザインのロータリー切手4種を発行しています。