• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

ロータリー関連の切手を収集し研究し楽しむことをロータリー郵趣と言い、その対象となる切手を一般に「ロータリー切手」と称します。かつてのコラムでも少し触れましたが、「ロータリー切手」と言われるものの中には、ロータリーとは全く関係のない切手にロータリーのロゴやエンブレムを入れただけのものがあります。それを販売する人たちは「ロータリアンが買うだろうから儲かる」と思っているのかもしれません。私が尊敬するROTARY ON STAMPS(ROS:国際ロータリーの公式親睦活動グループの一つ)の元会長であるフランスの故Dr. Rene Lagard は、それを「マネーメイキングプロジェクト」と呼んで、恥ずべきことで買ってはならない、と生前よく口にされておりました。

そうはいってもロータリーのロゴやエンブレムが入った切手であれば入手したくなるのも人情です。切手の催事での切手商のブースやヤフオクなどでもそうしたものを「ロータリー切手」として販売しているのをよく見かけます。しかしロータリーとは何ら関係ない切手をただロータリーのエンブレムが描かれているからといって集めるのは「ロータリー郵趣」からみて何の意味も無く、資料としての価値も全くありません。かつて、そういうものでも資料としての価値があるから収集の対象にすべきだと言われた先輩ロータリアン(故人)がおられましたが、私の意見は「ただの紙くず」です。シールとしては使えるかもしれませんが、買ってはいけないものだと考えます。なぜなら、売れなければ市場に出てこないものだからです。切手展では「使用してはいけない切手」とされていて減点の対象になります。切手に描かれた図柄によってはロータリーのエンブレムとは関係なしに収集する人たちもいます。例えば①は鉄道切手収集家でもある私から見れば「鉄道切手」として入手したくなる魅力ある図柄の切手です。しかし発行国と何ら関係のない車両が描かれていて、「鉄道切手」の世界でもこれはイリーガル切手とされています。

イリーガル切手とは法律に違反している、つまり違法切手・不法切手と呼ばれるもので、国名は入っていますが、その国家の公式な承認は得ておらず、売り上げの一部がその国の収入になる場合もあるようですが、その国では通用しない切手です。②は蘭の切手にロータリーのエンブレムが描かれていますが、どこにもロータリーの記念事業や紹介の文言が見当たりません。③はモンゴルの切手ですが、ユニセフやスカウト、蝶々、きのこと、収集家の多い分野を取り入れて、こうすることでよく売れるのでしょう。④はチェスのチャンピオンを描く金箔切手ですが、ロータリーのエンブレムを入れることで、販路を広げようとしたものです。これはさらに売れ残ったものに何やらロータリーの文字が黒で加刷されています。よく見るとROTARY CLUB INTERNATIONAL TORONTO – JUIN 1983 と読めます。トロント国際大会の記念切手では当然ありません。注意と自覚が必要です。

問題は⑤です。右の4面シートは4種類の切手をまとめたコンビネーションシートと呼ばれるものですが、ロータリーの活動が描かれていて、私は立派な「ロータリー切手」だと思っていました。しかしROSのエンサイクロペディアによれば「切手市場用であり、一般郵便用ではない。そもそも写真がロータリーのものではない」とされています。そう記したのは私が信頼する R. Dickson 氏です。この種のものはイリーガル切手ではなく、切手展の出品要項では「使わない方がよい切手」とされています。この辺は権威あるスコットカタログに採録されているか否かで判断するのがよいかもしれません。


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