ロータリーの切手に限りませんが、収集を続けていると、「これは本当にその収集に必要なものか?」と疑念の生じるものが往々にして出現します。最近ではいわゆる「エージェント切手」がそうですが、中には真面目なものもあって一概にダメとは言えません。一昨年~昨年は「ポール・ハリス生誕150周年」、今年は「ロータリー115周年」を標榜してエージェント切手の常連国(トーゴ、サントメプリンシペ、ギニアビサウなど)で発行されていますが、この辺は発行目的もはっきりしているので、ポール・ハリスのサインがでたらめであるとしても、まあ許容範囲であろうと私は思っています①②。
しかしながら、恐竜や動物、花、鉄道などの図案の切手にロータリーのエンブレムだけを取りこんだものは、明らかに「ロータリーの切手」ではなく、集めてはいけない切手であろうと考えます③④⑤⑥。中にはライオンズのエンブレムやスカウトのマークも一緒なもの⑤⑥もあります。「ロータリーのエンブレムが描かれていれば資料として集めるべきだ」と言われるベテラン収集家(ロータリアン)がおられますが、それのどこが資料になるというのでしょうか。「ロータリー」という視点で見れば、それは単なる紙くずでしかありません。私の「ロータリー郵趣」の師である故Dr. Rene Lagarde(仏)は常々「マネーメイキングプロジェクトに手を貸してはいけない」とおっしゃっていましたが、その通りであろうと思います。⑦や⑧のようにロータリー100周年の文字が堂々と入ったものもありますが、このどこが「ロータリー」だというのでしょうか。ただし、「ロータリー」ではなく、「絵画や動物、花、鉄道などの図案の切手」を収集している立場の方から見れば、それは収集すべき範疇に入る場合もあると思います。そこをとやかく言うつもりはありません。現に私も「鉄道関連切手」の収集家としては「これは単なるシールか」などと思いつつ、切手展の作品に使用できそうなものは購入することがあります。その場合は、それが「鉄道関連」の切手として意味を持つものか、という別の視点からの判断が必要になります。
私はロータリーのエンブレムが入っただけの切手もかつては100%集めていましたが、5~6年前にそれらの大半を処分しました。中には購入時の1割にも満たない金額で手放したものもありましたが、気持ちの上ではかなりすっきりしました。
今後は先述した「許容範囲」の切手をどうするかが課題です。これらエージェント切手は普通の目打ち付きの切手のほかに、同一図案で「無目打ち(インパーフ)」といって目打ちのないもの⑨(①の無目打ち)が少数作られ高額で販売されます。私もずっと両方を購入していましたが、2020年発行分からは通常の「目打ち付き」の切手だけを購入することにしました。
趣味ですからその収集範囲は個々人の判断にゆだねられるべきではありますが、切手趣味の品格を落としかねない切手の氾濫には、少なくとも手を貸さない姿勢が必要だと感じています。