昨年5月27日のコラムに書いたように、ロータリー関連の最初の記念切手はウイーンでの1931年国際ロータリー(RI)年次大会を記念するものでした。ではそれ以前の公的な郵便資料は何か。それがここに紹介する1927年のオーステンド(ベルギー最初のロータリー都市)でのRI年次大会(国際大会)の時に、それを広報する目的で使われた2種類の特別な日付印(記念文字入り消印)です。
2種類というのは、二つの言語による文字が2段書きになっていて、一つは上段がフラマン語で下段がフランス語、もう一つはそれとは逆に上がフランス語で下がフラマン語、というわけです。
ベルギーは言語により3つの共同体が形成されていて、それぞれに公用語を持っています。一番多いのがオランダ語のベルギー方言とも言われるフラマン語で、ベルギー北部にフラマン語共同体を形成していますが、大半の人はフランス語や英語も話せるようです。南部はフランス語共同体で、その北東の一部にドイツ語共同体があります。日本の外務省はベルギーの言語を、オランダ語、フランス語、ドイツ語としています。参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/belgium/data.html。全体として最も多いのがフラマン語なので、郵便切手の国名はフラマン語と英語で表示されています。ちなみに日本は日本語と英語です。
そんなわけで、日付印の右側の四角い枠の中には、フラマン語のINTERNATIONALE ROTARY OVEREFNKOMST VAN OOSTENDEと、フランス語のROTARY INTERNATIONAL CONVENTION D’OSTENDEが—–1927—–を挟んで上下に書かれています。消印が使用されたのは会場のあるオーステンドと首都のブリュッセルの郵便局で、オーステンドでは上がフラマン語の①が、ブリュッセルではフランス語が上の②が使われました。使用期間は正式な記録がなく、ROTARY ON STAMPSのエンサイクロペディアでは「大会期間中使用された」となっています。私が所有する35通ほどの確認では、消印は6月3日(③)から18日(④)まであります。大会期間は6月5~10日ですから、もう少し早い使用例があるのではないかと調査を進めているところです。また、現存するこの消印が押された郵便物の大半はハガキ、それもブリュッセルの消印がほとんどです。封筒は現存十通ほどといわれていますが、もう少し多いかもしれません。現在私の手元に8通の封筒が集まっています。①と②は封筒です。①はニューヨーク宛ですが切手代が不足していたようで受取人から追徴されています。
⑤は絵葉書で裏面⑥はオーステンドのグランドホテル界隈です。大会に参加したロータリアンが米国テキサス在住のロータリアンに送ったもので、オーステンドで書きブリュッセルで投函したと思われます。素晴らしい大会、輝かしい都市そして素敵な国、と書かれています。オーステンドRCは1923年に設立されたクラブでその4年後に早くも国際大会をホストしたことになります。この年度の国際ロータリー会長は米国テキサス州サンアントニオRCのハリー H. ロジャース氏でした。その74年後、21世紀最初の国際大会がサンアントニオで開催され、それは私が参加した最初の国際大会でした。