1905年に産声を上げたロータリーは1910年にウイニペグ(カナダ)、1911年にダブリン(アイルランド)やロンドン(英国)、そして1917年にパリ(フランス)と、着実にロータリークラブ(RC)の世界への拡大を続けていました。その頃(1918年)アジアではインドのカルカッタ(1920年1月認証)や香港(1931年認証)でRC創立の動きがありましたが、なかなかうまく進みませんでした。そんな時、マニラ(フィリピン)にRCが誕生したのを見て、東洋の巨大都市上海(中国)にRC設立の機運が高まりました。上海といっても中心部は列強の租借地が大半でしたが、当時のチェスレ・ペリー国際ロータリー(RI)事務総長も関わって1919年7月17日に組織化されたと記録にあります。RIの認証は同年10月1日付で、世界545番目のクラブとして登録されました。
ここに掲載するのはその上海RCが創立した年に米国ワシントン州タコマRC(1910年1月に発足、RI認証順位8番という歴史あるクラブ)に送った手紙の封筒です。創立に当たってアドバイスなどを受けていたのでしょうか。封筒の裏に1分の切手が10枚つまり1角の料金分貼られています。10年ほど前の全国切手展の際、封筒の表裏を同時に展示するため、干物の開きの如くオープンカバーにしてあります。1919年にはロータリーのエンブレムはまだ統一されておらず、中国の寺院の塔とSHANGHAIの文字がエンブレムの中に誇らし気に描かれています。もう一つ注目すべきはロータリーのモットーが中国語で印刷されていることです。日本での「超我の奉仕」は「大公無私」となっているなど、なるほどと思います。
私はこの封筒をあるネットオークションで入手したのですが、ここでもROTARY ON STAMPS(ROS)の友人と競り合いになりました。相手はフランスのベネディクト・ブルネル氏(現・ROS副会長)で、何年か後の国際大会の時にそれがわかりお互いに悲喜こもごも健闘をたたえあったのは良い思い出です。そのことで彼女とは、友人としてのかかわりがより深くなったようにも思います。後日カラーコピーを差し上げたのは言うまでもありません。
さて中国(大陸)のRCは1949年にすべて解散しましたが、2000年頃から仮クラブとして活動していた上海RCは、その後RIに認証されました。私は2008年のロサンゼルス国際大会の友愛の家のROSブースで上海RCの当時の唐国平会長エレクト(2008~09会長)からいろいろなお話を伺う機会がありました。当時上海RCには74名の会員のうち中国人は皆無で、外国の駐在員ばかりだとのことでした。唐さんも香港の方でしたが、現在クラブには在籍しておられないようです。1917-18年度の会長は東京都出身のヤマネ・モトヒロさんであったことが上海RCのホームページhttps://rotaryshanghai.org/で分かります。多くのプロジェクトを実行する活力あるクラブに見受けられます。