ルクセンブルクはフランス、ベルギー、ドイツに囲まれた「大公国」で、鉄道は1859年創業というから日本よりも長い歴史を持つ。首都のルクセンブルク市は町全体が「旧市街と城塞都市」としてユネスコの世界文化遺産に登録されている。
私は1999年8月26日に1泊したことがある。ベルギーのブルージュからオーストリーのインスブルックまで、国境沿いを14日かけて7か国を巡る旅の途中だった。市の中心部の高台に「世界遺産」の表示があって、レンガ造りの長い鉄道橋が見えた。「来ないかな」(もちろん列車)と思ったその時、警笛が聞こえ2両編成の電車がやってきた①。どこかで見たような気がした。そうだあれだ。私は趣味で鉄道の切手も集めていた。ルクセンブルクは1946年(私が生まれた年)に鉄道の国有化を行い、その50周年を記念する切手を1996年、つまり私の旅の3年前に発行し、私はそれを1シート②入手していた。この切手は横3枚が連刷で、2両の電車を描いていた。まさにその記憶にあった図案の実物が目の前を通って行ったのだ。写っているのは橋全体の半分くらいと言えば、あのアーチ橋の雄大さをご想像いただけるだろうか。
切手にあるCFLはルクセンブルク国有鉄道協会の略で、電車は2000型。22編成あり、1編成2両の定員は1等が32席、2等が132席で自転車置き場もあり、今も快速列車として2~6両で運用されているようだ。
ルクセンブルクの後はフランスのストラスブールを訪ねたので、その話を付け加えておこう。ストラスブールに着いて間もなく夕方、中央駅に行ってみた。石造りの大きく立派な駅舎が遠くに見えた。しかし何かおかしい。観光客の多い運河沿いの店は賑わっていたが、この辺りは人が少なく、閉まっている店が多い。駅に着いてもあまり人の気配がない。聞けば「バカンス真っ最中」でここに人はいないとのこと。広い駅前広場で「フランス人のバカンス」ってこうなのか、と感慨にふけっていると、何やら小さな緑色のものが足元に③。1円玉ほどの大きさのそれを手にとるとプラスチックでできた「カエル」。連れてって―と言っているようで、何かのご縁と思い連れ帰った。現在も我が家の飾り棚に鎮座している。
鉄道はトラムを見た④だけだったが、25年前にフランスの市内電車は何処もこんなのばかりだった。しばらくして日本のトラムも似たようなのが増えたような気がするが、トラムは専門外なのでこの辺で。