さて、ロータリー50周年記念切手についてのコラムはまだ8回目。東西海運の要衝「パナマ」を取り上げます。パナマのロータリークラブ(RC)は2022年1月1日のコラム「キャナルゾーン」に書いた通り、1919年にパナマシティにRCができたことに始まります。当時、パナマの郵便は「パナマ運河会社」によって行われていましたが、第2次大戦後の1955年(ロータリー50周年)には「パナマ共和国」として、記念切手を発行していました。
1955年2月23日、すなわちロータリー50周年の当日に3種の記念切手が発行されました①。発行数は紫色の6cが50万枚、赤色の21cが485,000枚、黒色のB/1が15,000枚と記録にあります。
この黒色のB/1は発行数があまりにも少なかったためか、同年5月25日に1万枚が再印刷されて発売されました(②左)。区別するのが非常に難しいのですが、刷色が「黒」ではなく「紫がかった黒」で、並べて比較するとわかります。
また、赤色の21cは同年12月7日に15c額面の切手が必要になった際、売れ残っていた切手に黒色で15cの加刷がされて、15万枚(公式記録による)発行されました(②右)。従って、ROTARY ON STAMPS(ROS)は、無加刷の21cの切手は335,000枚が存在するとしています。
この切手には「見本」加刷(スペイン語でMUESTRA)があります。これを入手しようとする場合は注意が必要です。ここには2月23日に発行された3種の見本加刷を3パターン示します。
③が正規の見本加刷で、④と⑤はニセ加刷とされています。公式説明では、加刷の色が「赤で右上部」というのが当時のパナマ切手の見本加刷ですので③がそれに該当します。④の書体は似ていますが色と位置が異なります。有名なニセ加刷ですので見かけた方はご注意ください。⑤の存在はあまり知られておらず、ニセ加刷と断定されていませんが、他の国(ニカラグァなど)に似たニセ加刷がありますので、私はフェイクであると推測しています。いずれも20年以上前にある有名な収集家(故人・米国)から引き継いだものですが、「要注意」としてご紹介する次第です。
⑥と⑦は有名なエラー切手で、⑥はシート最上段の印刷漏れです。縦横各10枚の100面シートで、縦に分割され、10組が存在するといわれています。⑥はそのうちの左の部分で、⑤とともに私の手元にやってきました。⑦は目打ちエラーで多分この状態に50分割されて市場に出たものらしく3枚以上の大きなブロックは見かけたことがありません。
最後に⑧オリジナル、⑨刷色変更、⑩額面改訂加刷、の3種類の日付のFDC(初日カバー)をご紹介します。