一昔前かふた昔か、もっと以前か、房総半島を巡るローカル線の写真がパラパラと出てきたので各線の代表をご紹介しておこう。
今やJRは、東京から見て千葉以遠はほとんどがローカル線のようなもので、特に2021年3月13日のダイヤ改正で、内房線木更津~安房鴨川~外房線上総一ノ宮の区間は大半が新造車とはいえ2両編成のワンマンカーE131系(①JR千葉の時刻表表紙参照)になってしまった。かつて10両編成のディーゼル急行が走り、電化後も内房外房各12往復の特急が走っていたことなど夢のようである。
そのJRの中で、昔も今も正真正銘のローカル線と言えば久留里線であろう。特に久留里~上総亀山間は営業係数が東日本一とかで廃止(バス転換)が検討されている。②はその平山~上総松丘(かずさまつおか)で撮ったキハ35系3連である。今はステンレスのキハE130系とかいう車両が使われている。キハ35やその後のキハ37あたりの時代はもう少しお客が多かった気がする。
房総にはJRのほかにローカル私鉄が3社あって、そのうちのひとつが小湊鐡道である。内房線の五井から終点の上総中野を経てJR久留里線の上総亀山経由、外房の海、安房小湊への路線を夢見たが、上総中野でその先を断念した鉄道である。3~4年前までは1960年代から、この写真③(上総大久保~養老渓谷)に写る200系ディーゼルカーが活躍していたが、最近はJRから廃車となったキハ40系を購入し、かなり置き換えが進んでいるようだ。ボールドウイン社製の蒸機2台と旧国鉄B10形式蒸機1台を千葉県の記念物として保有しており、その活用を60年前から期待しているのだが無理だろうな―。
その小湊鐡道と上総中野で接しているのがいすみ鉄道である。旧国鉄木原線(外房線大原から木更津を目指したが、上総中野でその先を断念)が、1988年から第三セクターとして存続している。千葉県が大株主で、県職員だった私の友人がいすみ鉄道の総務部長として派遣されていたことがあり、面白い話も伺ったが、現在10月4日の脱線事故で運休。バス代行が続いているので、早い復旧を祈るしかない。写真④は大多喜~小谷松で撮ったが、2019年4月17日のコラムに掲載したキハ07の写真と同じ鉄橋である。
房総半島の東の端、銚子には犬吠を経て外川(とがわ)に至る銚子電鉄がある。銚子駅に乗り入れてくる⑤(デハ201)この路線は、60年ほど前には、両国発の自然科学列車(キハ17系×2)が乗り入れて修学旅行の小学生を運んでいた。最近は副業のぬれ煎餅で有名だが、昨年は中古の中古ではない新しい中古車を南海電鉄から導入したことでも話題になった。写真⑥は笠上黒生(かさがみくろはえ)付近を走るデハ301(旧・鶴見臨港鉄道から国鉄を経て入線、2008年末に廃車)。この日この電車に乗った私は驚いた。運転台のそばで運転士と話しながら前方を見ていると架線が垂れ下がっているのが見えた。運転士は徐行し、前方中央の窓を開け、足元に置いてあった「さすまた」を手に持つと、その先で架線を上に持ち上げながら進んだ。無事通過したが写真は撮らないでね、といった程度で「もうすぐ修理が来るから」と言われた。⑥の撮影時には修理が終わっていた。