ロータリー50周年の記念切手を最初に発行したのはベルギーです。3種の切手が1954年9月10日に発行されましたが、3種のうち2種はその日始まった「国際ロータリー第5回ヨーロッパ・北アフリカ地域大会」を記念するものでした。従って「ロータリー50周年記念切手」は1種だけということになります。地域大会がベルギー(オーステンド)で開催されるに際し、翌年に控えたロータリーの50周年を広報するために、国際ロータリー(RI)から各国ロータリーにそれぞれの郵政に働きかけるよう要請されていた50周年記念切手を同時に発行したということのようです。切手のデザインもRI推奨図案(2024年2月1日のコラム参照)のうちのひとつを参考にしています。
ベルギー最初のロータリークラブは1923年にオーステンドに誕生し、そのわずか4年後の1927年にはRIの年次大会をオーステンドで開催したこと。その時に世界で初めて郵便物に「国際ロータリー」の文字の入った特別な消印が使われたこと、などをかつてこのコラム(2019/2/7「ロータリーが初めて公式に郵便に登場した時」)で紹介しました。
さて、50周年の記念切手①(サインはこの切手のデザイナー)は3種の中の最高額面4fで4,742,220枚発行されました。ちなみに地域大会の記念切手②の20cと③の80c(耳紙の数字は各シートの中央上部に入れられたコントロールナンバーで1~4があります。各シートは5×6の30面)は、②が18,688,440枚、③が5,487,390枚発行され、特に国内はがき料金の②は記念の初日カード(はがき)に単貼りで大量に使用され、ゲントやナミュールなど7都市の特別な消印が残されています。初日カバー(FDC封筒)は3種が貼られ、同じカシェでも、50周年④と地域大会⑤の2種が作られました。記念消印はオーステンドで9月10~11日④、ブルージュで9月13日⑤に使われました。首都ブリュッセルのFDCの消印にはロータリーの文字がなく通常の消印が使われています。
切手のデザイナーは3種ともJean Van Noten氏、凹版のエングレイバー(彫師)はL. Janssens氏で、そのイニシアルが3種の切手それぞれの左下と右下に小さく入れられています。
エングレーバープルーフ(カラートライアル)⑥~⑧は75×62mmでそれぞれ数色が作られました。彫師のサインが入っています。
ベルギーでは王室などへの贈呈シート(ブラックプリント、郵政の刻印=エンボス入り)が現在も作られていて、この切手でも各20枚作られ、市中に10枚ほどが存在するようです⑨。
見本切手⑩は無目打ちで300枚作られ、裏に1~300のナンバー⑪が印刷されています。郵便局等に1枚ずつ配られたのですが⑩のように田型で現存するものもあります。
この切手はロータリー50周年の前年に発行されたのですが、ロータリアンの強い要望で、50周年の本番、1955年3月3日に3種を小型シートにまとめた⑫が2,400枚発売されました。その発行数の少なさと小型シートの美麗さで、今も人気のアイテムになっています。