• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

先月のコラムで、国際ロータリー(RI)が3種の図案を示して、各国のロータリーに、それぞれの国でロータリー50周年の記念切手が発行されるよう働きかけることを要請したことをご紹介しました。
地元アメリカでは50周年当日の1955年2月23日に8,000万枚発行され、100種類以上の初日カバー(EDC)が作られました。シカゴ郵便局だけでも350,625枚のFDCが、いずれも同日午前9時の消印で作られたと記録にあります。①は公式台紙を使った初日カードで、この切手のデザイナーであるWilli Wolf Wind氏のサインがあります。切手図案にあるトーチと手は「自由の女神像」のそれであり、背後に地球が描かれています。

デザインは3回修正され、最初の段階のエッセー②では左にROTARIAN INTERNATIONALの文字がありますが、手書きでSERVICE ABOVE SELFと補筆され、比較検討されたものと思われます。③の2nd エッセーではその部分が削除され、検討が続いていたようです。ここまでは額面が国内郵便用の3セントでしたが、3rd エッセー④では国際郵便用の8セントに変更されています。この段階で額面が決められたのですが、同年の国際ロータリー年次大会はシカゴで開催されることから、海外からの購入も見越して8セントになったのでしょう。この段階で左にSERVICE ABOVE SELFというロータリーの「第一モットー」の文字が入れられました。またX.Y.POSTAGEの仮文字だった部分もU.S.POSTAGEになりました。⑤の決定図案ではSERVICE ABOVE SELFが左から下部に移り、すっきりしたデザインになりました。②~⑤は切手の図案検討段階で少数作られる「フォト・エッセー」と呼ばれるもので、その原画は現時点では所在不明のようです。このフォト・エッセーのうち②~④はROS(ROTARY ON STAMPS)の史料編纂に多大の貢献をされ、Hall of Fame第一号に推挙されたRichard J. Dickson氏から譲り受けたものです。

さて、この切手にはFDCも含め多くの著名ロータリアンがサインを残しています。⑥はTaylor RI会長が切手の耳紙部分に1955年3月9日に署名されたものです。この日何かしらのRI行事があり、そこで切手収集家がサインをいただいたものと思います。⑦はJ.Means事務総長、⑧はR.E.Vernor会計長が、それぞれFDCにサインをしておられますが、実際に署名されたのは2月23日ではないかもしれません。⑨にはシカゴ郵便局長のサインが入っています。私の手元にあるだけでも、RI副会長や理事から全米各州の州都の郵便局長のサインまで、膨大な記念物が残されています。

アメリカの切手はシートの四隅にプレートナンバー(印刷の実用版ごとに異なる)が印刷されます。この記念切手は発行数が多いのでプレートナンバーは25125~25128の4種あり、それを四隅分計16種類集めるというのは、今となっては大変だと思いますが、私の手元にあるのは先人のDenniceさんが集められたもので、各ナンバー⑩~⑬を一隅ずつ掲載しておきます。

冒頭にFDCは100種以上と書きました。ロータリーのエンブレムをベルベットで作り貼り付けたシリーズが有名ですが、これだけでも30種以上ありますのでここではその中でも数少ないバージョンのもの⑭をご紹介します。⑦~⑨はArt Craft社製の一般的なFDCです。


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