毎日うだるような暑い日が続いています。ロータリーは新年度に入って1か月。各ロータリークラブ(RC)でも新体制の活動が始まっていることでしょう。大半のRCではクラブ内の人間関係もうまくいっていると思いますが、そうでないケースも時折耳にします。年度の変わり目に退会者が○人出たなどと聞くことがあります。こうした事態を受けて、国際ロータリーは各クラブに会員増強とともに会員維持を呼びかけています。特に入会して数年以内の会員が退会に至る理由などを例示して、クラブでの取り組みを提案しています。「会員維持」という言葉は15年くらい前から強調されるようになったように思います。
しかしこれは今に始まったことではないようです。もう66年も前の手紙を紹介しましょう。数年前、現在のような猛暑の日にコレクションを整理していて発見したものです。ロータリアンがクラブを退会する理由はいくつもあり、人によってさまざまだと思いますが、これはクラブ内の人間関係に起因するケースです。
英国南東部のケント州、Dartford Rotary Club(ダートフォードRC)のロータリアン、L. J. W. LACKさんが受け取った手紙①です。消印の日付は1957年1月27日。たまたま手紙の中身②が残っていました。同じクラブの会員と思われるGEO. J. LOFTSさんが差し出したもので、文面からするとクラブの全員に出したもののようです。翻訳すると「数週間前、私はロータリアン仲間 3人からクラブを一時的に欠席するよう頼まれました。 私が出席するとクラブ内に不穏な空気を引き起こすかもしれないと言われています。 このような事態は避けたいので、皆様に確認をお願いします。 次の質問に「はい」または「いいえ」で答えて、返信してください。 署名する必要はありません。私がクラブに参加したら、私が出席しているという理由であなたは欠席しますか?」
返信用の封筒③が残っていますのでLACKさんは返信しなかったのでしょう。このRCで何があったのかはわかりませんが、この時ひとりのロータリアンが退会せねばならないのか悩んでいたのは間違いないでしょう。L. J. W. LACKさんは1930年代の手紙も残っていますのでこのクラブでは重鎮の一人だったと思われます。返信しなかったのはきっと別の方法でアドバイスをしたのでしょう。
LOFTSさんが結果的にどうなったのかはわかりませんが、誰にも相談せずに退会していく会員が多いことを思えば、このRCはまだ風通しが良かったのかもしれません。真夏の昼さがり、66年前の英国の見知らぬRCに思いを馳せつつ、クラブの人間関係を考えたものでした。
この封筒、どこにもRCの文字がありません。中身を見なければこれがロータリー郵趣と思えませんが、こんなことがあるのもロータリー郵趣の楽しみの一つです。