昨日10月14日は日本における鉄道開業150周年の記念日だった。今年はさまざまなイベントが各地で行われている。私も鉄道ファンのはしくれとして何かせねばと思ったが、腰を痛めているのが災いして、13~14日に東京目白の切手の博物館で開催された鉄道郵趣研究会の展示にも失礼してしまった。
まあ、私の鉄道ファン歴も長いもので、物心ついた頃からだから70年以上となる。少し振り返ってみよう。5歳のころ父に連れられて東京秋葉原の交通博物館(交博)に初めて出かけた。その時売店で買ってもらったのが①の『蒸気機関車の80年』(表紙)という1950年発行のリーフレットである。もうボロボロになったが今も私の手元にある。表紙には初期の蒸気機関車(蒸機)と当時最新鋭のC62が描かれている。初期の蒸機は常識的には1号機関車(150型式)と思われるが、煙突にあるナンバーは15になっていて、その辺のことは不明である。中には多くの蒸機が描かれていて、このリーフレットは私の宝物になった。のちに小学生高学年の頃には鉄道好きの友人と交博に出かけては、何種類かのリーフレットを入手してきた。そのうちの『No.9鉄道唱歌集』の表紙②には1956年に登場した特急用塗装のEF58と1号機関車が描かれ、その裏表紙③には「新橋・横濱間が開通した頃」の解説が正確かつ簡明に書かれている。
高校生になると私は国鉄本社広報部に手紙を書いて、全国鉄道路線の無煙化の予定や、機関区などの見学の手続きなどを教えてもらった。その返信の文書が「黄門さまの印籠」(?)になって、機関区などの見学や機関車への添乗など、ずいぶん便宜を図っていただいた。特に千葉鉄道管理局文書課広報係にはお世話になり、あれこれ思い出すたびに感謝の気持ちがあふれてくる。その頃いただいたのが『写真で見る国鉄90年』(⑤表紙)という120ページほどの日本国有鉄道発行の本(非売品)で、感激して読んだ。のちに『鉄道80年のあゆみ』(④表紙/130ページ)も手に入り、こちらはボロボロになってしまった。
国鉄100周年には2回目の写真個展を千葉そごう百貨店のステップギャラリーで開催した。その最終日の1972年10月17日(鉄道記念日の3日後)には長男が誕生し、忙しい日々だったが、隙間を縫って「鉄道用品即売会」などにも出かけた。もっと大変だったのが、全国各地で発行された100周年の記念乗車券類の収集だった。何とか完収できたが、ここでご紹介すべきはやはり東京南鉄道管理局の乗車券⑥(表裏)であろう。記念バッジを入手すれば記念列車に乗ることができた。全国各地の券はとても紹介しきれないが、私の地元千葉鉄道管理局発行の⑦だけ追加しておこう。
この年、9月30日と10月1日の2日間、総武本線千葉~銚子間にC571牽引による記念列車が運転され、その車内で3種セット袋入りの乗車記念券が乗客に配られた。その写真は袋も含め私の撮影によるもので、8620型式(38671)のもの⑧を掲載しておく。
その後、国鉄は民営化されてJRとなり、機関区や電車区の撮影会なども行うようになった。入場料を徴収するようになり、だんだんエスカレートしてきて最近では大人3万円、子供2万円などというのもあるようだ。もう40年近く前に「親子でディーゼル機関車運転体験」というのがあって2人分16,000円を払い、周囲から随分高いと言われたが、最近は親子で5万円。それも見て撮るだけ。せめて鉄道博物館の入場料プラスアルファくらいにならないかと思う。
さてこの150周年。何か記念になるものはないかと思ったが、JRの新幹線など3日間乗り放題記念乗車券などコレクションとしては不適なものばかり。1号機関車純金模型が1,500万円、というのは論外だし、あきれたのは記念Suica 3枚セット15,000円。ところがこれ、デポジットも入っていなければチャージもされてないまるっきりカラのカード。額がついているので飾っておくようにということだと思うのだが、何ともいえない気分になった。150周年記念商品ポスター⑨が公開されている。これを使って新橋横浜間往復記念乗車券を発行してくれたらよかったのに、と思うのは私だけだろうか。
唯一購入したのが記念切手。これは10枚セット(セルフ糊)1シート840円だから気軽に入手できる。ただ絵柄が何となくすっきりしない。「メルヘン的」という人もあり、JP(日本郵便)も「全体を浮世絵風にデザインした」と言っているようだが、私としては積極的に使いたくなる切手ではなかった。切手では100周年の際新橋郵便局で記念品を作ったので、今回は横浜中央郵便局の記念消印を押したもの⑩を掲載しておこう。