先月のコラムで、ロータリー切手の収集だけではない「ロータリー郵趣」の楽しみに触れました。
私は子どもの頃から切手収集を趣味の一つにしてきましたが、1992年5月に、千葉県の船橋南ロータリークラブに入会し、大先輩会員の安川厚さんに教えていただくまで、ロータリー切手という収集分野があることを知りませんでした。
そういえば1961年、私が中学生の頃「第52回国際ロータリー年次大会記念」切手という、見るからに地味な切手があったなと思いだしました。さらに1978年に発行された「国際ロータリー東京大会記念」切手も手元にありました。知り合いの切手商に話してみると、世界ではかなり多くのロータリー切手が発行されていて、1931年のウイーン大会の記念切手以外はカタログ評価もそれほど高くはないことがわかりました。もともと収集癖が問題の私でしたが、予算を決め、まずは1955年のロータリー50周年記念切手までを完集することにして、コツコツと集め始めました。
切手を収集するうえで基本となる、切手の状態(シミや傷がないのはもちろん、切手の印面が切手の真ん中にあって四隅の余白が均等か等)に十分気を付けながらの収集はかなり大変でした。そもそも集めている人が少ない分野なので切手商の在庫も少なく、その中から選ばねばなりません。結果、海外の業者ともコンタクトを取りながらの収集になりましたが、その中でいろいろなことを学習しました。
まず海外のロータリアン(ROTARY ON STAMPSの友人)から言われたのは、「切手だけ集めるのならすぐに終わってしまう」ということでした。それだけほかの分野に比べてロータリーの切手は少ないのでした。では何があるのか? 切手にはその制作過程で作られる試し刷り(プルーフ)①や、刷色の試し刷り(カラートライアルプルーフ)③があることを知りました。当然ですが原画があり、デザイン制作過程でのエッセイ②もあります。数少ない貴重品ですが、集め出したらきりがありません。有名な郵趣品に初日カバー(FDC)があります。切手発行日の初日に、記念の封筒にその切手を貼り、記念消印や日付印を押したものです。これも実際に使われたもの④を集めようと思うとなかなか手に入らず、逆に収集の楽しみが広がります。FDCには著名ロータリアンのサインが入ったものもあります⑤。現国際ロータリー会長のサインなら、国際大会の会場でお願いして手に入れることができるでしょう。切手にはエラーもたまにあります。一部の目打ち漏れや一色漏れ⑥(最下段)など気を付けていると市場に出てくることがあります。
そして次は古手紙の収集です。古手紙といっても差出人やあて先が国際ロータリーや世界中のロータリークラブ、地区ガバナーやロータリアンなどいろいろあります。そしてメークアップカード。何かしらロータリーに関係のある手紙やはがきが私の手もとに集まりだしました。函館では函館東ロータリークラブに宛てたこんなものも手に入りました⑦。差出人は今の国際ロータリー日本事務局資料室でしょうか。
十数年前、東京での全国切手展の際ディラーズブースに出店していたアメリカの切手商から見せられたのが、大きな段ボール箱にぎっしりと詰め込まれた1930~45年の古手紙1,200通あまり。「ハマナサーン!これを買ってー。アメリカに帰れない!!」と言われてかなり安く入手したことがありました。パレスチナなど今はない国のロータリークラブや第2次大戦終結間近の頃の貴重な封筒もかなり入っていました。一通一通確認していくと、当時のロータリーに思いを馳せて、知らないことを調べ、ロータリーのことがよりよくわかるようにもなりました。
日本各地のロータリークラブ発国際ロータリー宛など集め出したらきりがない分野でもあります。
こうして私のロータリー切手収集は「ロータリー郵趣」へと進化?していったのです。別の見方をすれば泥沼にはまった?のかもしれません。その第一歩は何だったのか? もしかしたら以前にご紹介したタンジールのシールを貼った封筒の入手だったような気がします。