• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

さる10月9日の夜、私は翌日が締め切り日だったJAPEX(全国切手展)への出品作品「ロータリーの重点分野」の提出を終えてほっとしていた時、ニュースで今年のノーベル平和賞にWFP(世界食糧計画)が選ばれたことを知り嬉しくなりました。私の切手の作品にも「飢餓との闘い」の切手を2枚だけですが入れていました。重点分野として特に「飢餓」はとりあげられていませんが、ロータリーとしては3-H(Health:健康、Humanity:人間性、Hunger:飢餓)プログラムの一つとして取り組んできたテーマです。現実の飢餓や食糧問題を明瞭に世界の人々に思い起こさせるには十分なインパクトがある今年のノーベル平和賞だと思いました。現在飢餓に苦しむ人々は6億9,000万人、世界の人口の9%近くに上るといわれています。各地で続く武力紛争がその大きな原因で、21世紀に入り一旦は減少傾向だった飢餓に苦しむ人々の数は増加に転じています。2019年1月まで13年間WFPに勤務していたという田島麻衣子参議院議員は「この一報を受け取った時、最初に私の胸に浮かんだのは、人道支援の最前線で犠牲となった同僚たちです。彼らのために平和賞は贈られたのだ、と思いました」と語っておられます。なるほど、と思いました。
人道支援の最前線は武力紛争の現場でもあります。しかし、ロータリーの「飢餓との闘い」の場は、国連の人道支援機関とは異なります。ロータリーは過去にチャコ戦争(1932~35年、ボリビアとウルグアイ)で戦場をかいくぐって両国のロータリアンが双方の捕虜とその家族の連絡役を果たしたことがあり、最近でもポリオ生ワクチンの投与でロータリアンボランティアが紛争地帯に出かけたこともありました。ですが、一般にロータリーの人道援助は資金協力が中心になります。市井の一人のロータリアンとしてはそれが普通であり、広報し募金し、例えばWFPに資金協力するというのが自然で可能な「闘い」なのでありましょう。したがって、ロータリー郵趣の視点で見ても、ロータリアンが紛争地帯で働く姿はありませんが、飢餓との闘いがいかに必要かを広報する切手が発行されているのがわかります。
①はロータリー75周年の1980年に始まった3-Hプログラムを紹介する切手で、右のトーゴ発行のものは3つのうち「飢餓」を表すものです。②は3-Hプログラムの3つのロゴのうち「飢餓』を示すものです。③と④は食糧の提供を示しています。⑤では、飢餓は子どもだけの問題ではないこと、そして支援食糧を運ぶ様子が描かれています。このほかにも「飢餓との闘い」を描くロータリーの切手はありますが、ロータリーの最優先活動となっている「ポリオ根絶」を描く切手に比べるとかなり少ないのが実情です。食糧問題と平和/紛争解決の両面から「飢餓との闘い」に挑戦するロータリークラブの活躍が紹介されるのを期待したいと思います。


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