• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

タンジール(ベルベル語でタンジェ)はモロッコ北部にある地中海ジブラルタル海峡に面した都市で、対岸はスペインです。最近の人口は約95万人、古くから栄え、観光地としてもにぎわっています。私がニュージーランド旅行で知り合った岡山のロータリアンご夫妻は、その後しばらくしてタンジールを訪ねたと言われました。もう10年以上前のことです。今は多くの日本人旅行者がいるように思います。
1936年5月1~3日にこのタンジールで当時の国際ロータリー(RI)第60区大会が開催され、それを記念したシールが3種類②作成・使用されました。
私がロータリー郵趣に片足を踏み入れてしばらくした頃、今も親しく信頼できる切手商から「切手ではないけど」と言われて見せられたのが①の封筒でした。青と黄色の2色刷りのシールは木版画のようで、何となくモロッコの街角らしい雰囲気を醸し出していました。地区大会に参加したロータリアンが米国の友人に送ったものでしょうか。英国切手にTANGIERと加刷された切手が貼られています。
タンジールの詳細な位置を調べ、当時のRI第60区が地中海を挟んだヨーロッパと北アフリカにまたがる地区であることなど、ロータリー郵趣初心者の私には興味深いことが次々と判明しました。そして私はロータリー郵趣に両足を踏み入れてしまうことになった因縁の封筒と言えるものです。
さてこのシールには3種②があり、最も一般的なのは①に貼られた青と黄の2色のものですが、他に赤と黒、緑と橙のものがあり、赤と黒のものがレアとよく言われますが、私の印象では、緑と橙が最も少ないように思います。いずれも封筒の裏面に封緘紙として使われたケースが多いようです。ロータリー郵趣ではこうした郵便付属のシールもロータリー関連のものであれば収集対象になります。


③のタンジールRCの封筒は1932年9月21日の消印があり、スペインの切手が貼られています。第60区大会が開催される4年ほど前のものです。タンジールは1923年12月18日のパリ会議の結果、スペイン、フランスと英国による国際管理地域となっていて、RCの事務所はスペインの管理区域にあったものと思います。第2次大戦後の1954年9月23日の消印が押された封書④には英国切手にTANGIERと加刷した切手が貼られていますので、クラブ事務所は英国の管理区域になっていたものと推測します。地区は第72区になっています。第2次大戦前は70~72の地区番号は日本とその関連地域に割り振られていましたので、地区番号の再編などがあったものと思います。日本がRIに復帰した時、日本には第60区が割り当てられました。モロッコと交換したような感じですが何か因縁があるのでしょうか。タンジールの国際管理は1956年12月31日に終結し、ようやくモロッコ王国に復帰しました。日本の国際連合加盟が認められた年の年末のことです。今はRI第9010地区(モーリタニア、モロッコ、アルジェリア、チュニジアの4か国で構成)に属し、タンジール市内には4クラブがあるようです。この内TANGIER DOYEN RC(DOYEN=第一)が③や④のタンジールRCの歴史を引き継いでいるものと思います。使用言語はフランス語になっています。
何かと興味深いタンジール。気候も地中海性で温暖。今頃は東京の気温とほぼ同じようです。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です