最近の年賀はがきにはさまざまなバージョンがあって、その中でも「オリジナル年賀」には企業や団体がスポンサーとして広告や広報に使えるようになったものがあります。
実はあるネットオークションで、寝屋川ロータリークラブ(国際ロータリー第2660地区・大阪府)が今年の年賀はがきで広報啓発活動を行ったらしいことがわかりました。官製年賀はがきに「寝屋川ロータリークラブ」「創立50周年記念事業」の文字があり、市内居住者宛(全戸配達/個別のあて名は記載なし)で寝屋川警察署からのお知らせとして「特殊詐欺・交通事故にご注意!!」と大きく書かれています(①)。裏面は警察からの啓発文で埋め尽くされ、最下段に「寝屋川ロータリークラブ協賛」とあります(②)。この入札には競争相手が多かった(官製年賀はがきの収集家が多い)のですが、なんとか落札できました。
寝屋川ロータリークラブ(RC)に問い合わせましたところ、創立50周年記念事業として、このオリジナル年賀による「特殊詐欺予防」と「交通事故防止」の広報を考えられたとのことです。このような年賀はがきを使ったロータリーの広報活動はあまり例がないのではないかと思います。2,500枚作り、郵便局に相談して高齢者の多い地区に配ったとのことでした。年賀はがきにしたのは、高齢者が親しみやすく、長期間の保存が見込まれるからとのことでした。年賀状の特性を生かした啓蒙活動として実施されたそうです。
また、この「事故防犯年賀はがき」とは別に「教育年賀はがき」(③表示は寝屋川RC創立50周年記念事業)を作成し、寝屋川市教育委員会に贈呈したとのことです。教育委員会の協力と学校長の理解を得て、市内全24小学校の3年生全員(約2,000人)に「寝屋川RC創立50周年記念年賀はがき」6,000枚と手紙の書き方教材を配布し、いじめや交通事故防止についてなど、子供たち同士で考え、年賀状を作成してもらったとのことです。
併せて国際ロータリーの識字率向上プログラムを紹介し、児童には字を書けることの素晴らしさ、教育を受けられることの幸せを再認識してもらい、同時に教育委員会、学校長および学校関係者、そして保護者に対してもロータリー活動の周知を行うことができたと総括しておられます。寝屋川RC50周年の2018-19年度会長の出橋恒仁氏に詳細を教えていただきましたが、出橋氏は元郵便局長でいらしたとのことでした。年度替わりのお忙しい時期にご対応いただいた出橋氏に感謝・御礼を申し上げる次第です。
このようなオリジナル年賀を活用した啓発活動は、比較的安価で公共性もあり、なかなか良い試みだと思いました。郵趣の面から言いますと、このような事例が増えて収集が追い付かなくなるようだと痛しかゆしですが。
かつてはテレホンカードが各RCで盛んに作られ、熱心に集めた方も多いようです。最近ではクラブの周年事業などの際に「フレーム切手」(かつてはPスタンプと呼ばれた時期もあります)を作成したクラブが多数あります。米山記念奨学会も40周年の際に2,000シート作成されました。そこにこの年賀はがきが加わったということになります。