1955年2月23日はロータリーの創立50周年記念日でした。国際ロータリーの要請によりその数年前から各国で記念切手の発行が計画され、その結果1954年10月から1956年9月にかけて27か国で記念切手が発行されました。
中米グアテマラでは祝賀気分が終わった頃、1956年9月8日に発行されました。印刷はウイーン(オーストリア)のStaatsdruckerel社に発注され、奇しくもロータリー最初の記念切手である1931年ウイーン大会の印刷版を彫刻したF. Retzl氏がデザインし、4センタボ(青)、6センタボ(緑)、35センタボ(紫)の3種類が発行されました。
オーストリアで印刷された切手には、仕上げ前の試し刷りとしてブラックプリント(プルーフ)が作られるのが通例でした。そこでこの切手にも、見本(①)のほかにブラックプリントの存在が予測されたのですが、これまで確認されていなかったのです。誰もがもう残ってないものと思っていました(最近のオーストリア切手には収集家向けのブラックプリントがありますが、それとは異なり1~数枚が刷られたというものです)。
それが何と日本国内で今年(2018年)の6月に発見されました。ある中南米諸国の切手を収集していた方が切手商(私の友人)に売却した中にそれが1枚(②表、③裏)含まれていたのです。どのようなルートでその方が入手されたのかは不明ですが、裏面のゴム印やサインは真正と鑑定され、12月6日に私のコレクションに収まりました。他の額面のものも刷られたかどうか、それらすべてがわかりません。
実はこの切手、発行された途端に物議をかもしました。描かれたのはグアテマラの地図にもかかわらず、ベリーズという他国の領土(切手では右上方)を含めて描かれていました。この切手には作られなかったB案が存在しますが、そのエッセイ(④)の地図ではきちんと表現されています。なぜ問題のある図案の方で発行されたのか疑問が残ります。
グアテマラのロータリーは、1925年にグアテマラ市に誕生し、ロータリー50周年の時には国内に3クラブが存在していました。