• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

私がROTARY ON STAMPSの会長になった2005年7月、インドのロータリアンからチャコ戦争時のロータリー郵便について尋ねられたことがありました。『奉仕の一世紀』(国際ロータリー2003年刊、デイヴィッドC.フォワード著)によれば、ボリビアとパラグアイのロータリアンが双方の捕虜とその家族の間の手紙の交換を援助する「郵便局」を設置した、とありますが、それ以上の知識は持ち合わせていませんでした。公的な郵便としての記録はなく、悶々としていたある日、その時の手紙の封筒が奇跡的に手に入りました。前所有者(故人)はその前の前の所有者からの言い伝えをメモにしてくれていました。

チャコ戦争(1932~35年)はボリビアとパラグアイがチャコ平原30万平方㎞の領有権を争った戦いで、10万余の兵士が死に、多くの戦争捕虜がいました。両国間の郵便事業は当然閉鎖されていました。1934年10月両国のロータリアンは近隣のアルゼンチン及びウルグアイのロータリークラブ(RC)と協力し、上述の郵便業務を行いました。ここに示すのは1934年に、ボリビアのラパスRCがアルゼンチンのサルタRC(双方との国境に近い)を介してパラグアイのアスンシオンRC経由、アスンシオンの捕虜収容所内のボリビア人捕虜に届けた手紙の封筒です。ボリビアのラパス(右)とパラグアイのアスンシオン(左)両RCの印があります。ゴム印(SENSURA/検閲)は当時ボリビアの郵便局で使用されていたものです。

この事業は捕虜とその家族にとって大好評でしたが、現実にはロータリアンたちは戦火をかいくぐり、ジャングルを抜けて危険や困難と闘いながら互いの連絡を取り合っていました。これにかかわったアルゼンチンのカルロス S. ラモス外相(ブエノスアイレスRC、切手①)は両国に和解を働きかけ、これが功を奏して、氏は1936年のノーベル平和賞を受賞しました。

両国のRCとも1927年の創立で、1997年にそれぞれのロータリー70周年を祝う記念切手を発行しました。パラグアイ(②③)はブルーの部分が紫(③)になったものが少しだけ見つかりレアとされています。ボリビア(④)はその年度の国際ロータリーテーマを図柄にしています。


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